ーお気に入りの作品や、家族の思い出を暮らしの中にー
お気に入りの絵やポストカードを飾りたいけれど、「どのくらいの高さに飾ればいいの?」「額縁はどう選べばいい?」と迷ったことはありませんか。
アートを美しく飾るために、まず意識したいのは次の3つです。
- 高さ:作品の中心を、目線の高さに合わせる
- 配置:家具とのバランスや余白を考える
- 額縁:作品の魅力を引き立てるものを選ぶ
けれど、基本にとらわれすぎる必要はありません。
大切なのは、その作品をどこで、どんな気持ちで眺めたいか。
今回は、インテリアコーディネーターとしての視点と、わが家で実践している飾り方を交えながら、気軽にできるアートの楽しみ方をご紹介します。
1.絵を飾る高さは、目線の高さを基本に
壁に絵を飾るときは、作品の中心が床から150cm前後になる位置を、ひとつの出発点にしてみましょう。
ただし、150cmがすべての部屋に適した高さというわけではありません。
ソファに座って眺める作品なら、少し低めに。
和室なら、畳に座ったときの目線も意識します。
一方、吹き抜けなど天井の高い空間では、壁面全体のバランスを見ながら、あえて高い位置に飾ることもあります。
鳥や空を描いた作品なら、少し見上げる位置に飾ることで、その世界観がより引き立つかもしれません。
高さの数字は目安。最後は、いつも過ごす場所から眺めて決めることが大切です。
2.家具とのバランスは、余白を意識して
ソファやチェストの上に絵を飾るときは、家具との大きさのバランスも大切です。
ひとつの目安として、アートの横幅を家具の幅の6〜8割程度にすると、まとまりやすくなります。
ただし、これも絶対的なルールではありません。
一枚の大きな作品を飾るのか、小さな作品を複数組み合わせるのかによって、見え方は変わります。
絵を飾ることに意識が向きがちですが、何も飾らない壁の部分も、空間を美しく見せる大切な要素。
作品と家具、そして周囲の余白をひとつの景色として考えてみましょう。
3.ポストカードは、複数並べるとひとつのアートに

アートを楽しむために、必ずしも高価な作品を購入する必要はありません。
私は以前、木梨憲武展で購入したポストカードを、同じデザインの額縁に入れて複数飾っていました。
小さな作品も、まとめて飾る「グルーピング」によって、ひとつの大きなアートのような存在感が生まれます。
異なる絵柄でも、額縁の色や形をそろえると統一感が生まれます。
配置を決めるときは、まず床の上に並べてみるのがおすすめです。
上下や左右のラインをそろえたり、額と額の間隔を整えたりしながら、好きなバランスを探してみてください。
壁に取り付ける前に、額と同じ大きさの紙を仮に貼ってみると、全体の配置も確認しやすくなります。
4.子どもの作品も、額縁ひとつで素敵なアートに

わが家では、子どもたちが描いた絵や、手づくりの作品も額に入れて飾っています。
例えば、子どもの自由な絵を、クラシックな装飾のある額縁に入れることがあります。
少し意外な組み合わせかもしれませんが、子どもの伸びやかな表現と、装飾的な額縁の対比が気に入っています。
一方、シンプルな白い額縁は、作品の色や質感を素直に引き立ててくれます。

以前、末っ子と母が一緒に草木染めをした布がとてもきれいだったので、額に入れて飾ったこともありました。
絵だけでなく、布や手づくりのものも、飾り方次第で暮らしの中のアートになります。
子どもの作品をすべて飾るのではなく、私が気に入ったものを選んで飾ることもあります。
選ばれた子どもは嬉しそうに、「ここを工夫したんだよ」と作品について話してくれます。
作品を飾ることが、家族の会話につながる。
そんな時間も、私にとってアートのある暮らしの楽しさのひとつです。
5.家族の成長や思い出を、暮らしの中に飾る

わが家の和室には、子どもが賞をいただいた習字の作品を飾っています。
日々の暮らしの中で、自分が頑張ってきたことを目にできる場所です。
子どもはその後も習字を続け、準7段まで進みました。
作品を飾ることも、本人の励みのひとつになっていたのではないかと感じています。
また、寝室には、結婚式のために友人が描いてくれたウェルカムボードを飾っています。
親戚が描いた作品も、飾り棚に置いて楽しんでいます。
どちらも、私にとって大切な思い出のある作品です。
アートは空間を美しくするだけでなく、家族の成長や、大切な人とのつながりを思い出させてくれるものでもあります。
6.お気に入りのポスターは、サイズに合わせて額装する

わが家には、さまざまな名作椅子が紹介された、大きなポスターがあります。
既製品では合うサイズの額縁が見つからなかったため、地元の額装店にお願いして、ポスターのサイズに合わせた額縁を製作していただきました。
今は壁に立てかけて楽しんでいます。
額縁は作品を保護するだけでなく、その印象を大きく変えるものです。
気に入った作品だからこそ、サイズや素材にこだわって額装するのも、ひとつの楽しみ方。
大きな額を立てかける場合は、転倒や滑落を防ぐ対策も忘れないようにしましょう。
7.壁に穴を開ける前に、配置と取り付け方法を確認
わが家では、作品を壁に飾る際、壁材や額の重さに応じてXフックなどを使用しています。
ただし、フックには耐荷重があり、壁の種類によって適した取り付け方法も異なります。
大きな作品や重い額縁は、特に安全性を確認することが大切です。
また、以前、粘着タイプの固定材を使った際に、軽い作品でも落ちてしまった経験があります。
そのため、取り付け位置を確認するときは、額そのものを仮止めするのではなく、同じ大きさに切った紙を壁に貼って確認する方法がおすすめです。
紙を貼るテープも、壁紙を傷めないか、目立たない場所で試してから使用しましょう。
複数の作品を飾る場合や、大きな作品の配置に迷う場合には、パースを作成して空間全体のバランスを確認する方法もあります。
ちょっとしたコツ|額に入れたアートをきれいに撮影するには?
額縁のガラスやアクリル板は、写真を撮ると、自分の姿や窓の光が映り込んでしまうことがあります。
そんなときは、フラッシュを使わず、柔らかい自然光の中で撮影してみましょう。
カメラの位置を少しずらしたり、室内の照明を消したりするだけでも、映り込みが軽減することがあります。
また、額装には反射を抑える特殊なガラスやアクリル板もあります。
お気に入りの作品をより美しく鑑賞したい場合は、額装店で相談してみるのもよい方法です。
おわりに|アートは、もっと気軽に楽しんでいい
アートというと、特別な作品を購入して飾るもの、と思われるかもしれません。
けれど、旅先で見つけたポストカードや、子どもが描いた絵、大切な人から贈られた作品も、暮らしを豊かにしてくれるアートです。
飾る高さや額縁の選び方に少し気を配るだけで、いつもの空間が違って見えることもあります。
そして何より、自分が好きなものや、大切にしたい思い出が、ふと目に入ること。
そこに、アートのある暮らしの楽しさがあるのではないでしょうか。
今回は、気軽に一人でもできる、アートの飾り方をご紹介しました。
まずは、家にあるお気に入りの一枚から、飾ってみませんか。

コメント