― 心地よい暮らしと、自分らしく生きること ―
はじめに|あなたは今、どんな気持ちですか?
「今日は何をしましたか?」
そう聞かれたら、私たちは比較的簡単に答えられると思います。
仕事を頑張った。
家事を片付けた。
家族と出かけた。
では、
「そのとき、どんな気持ちになりましたか?」
と聞かれたら、どうでしょう。
嬉しかった。
安心した。
誇らしかった。
心が満たされた。
すぐに言葉が浮かぶ人もいれば、少し考える人もいるかもしれません。
私自身、最近になって、出来事や行動については話していても、そのときの感情については、意外と話していないのかもしれないと感じるようになりました。
そして、この気づきは、私がインテリアの仕事で大切にしたいことにもつながっていました。
スポーツ心理学から気づいたこと
先日、スポーツドクターであり、スラムダンク勝利学の著者である辻秀一先生の記事を読みました。
辻先生は、スポーツを通して心の状態に目を向け、競技の結果だけでなく、人生の質(QOL)を大切にする考え方を伝えています。
私の心に残ったのは、
「スポーツは入口で、QOLが出口」
という言葉でした。
その瞬間、自分の仕事にも通じるものを感じたのです。
インテリアコーディネーターとして約20年、500棟以上の住まいづくりに携わってきました。
家具やカーテンを選び、照明を考え、暮らしやすい空間を提案する。
もちろん、それは私の大切な仕事です。
けれど、私が本当に実現したいことは、素敵な部屋を完成させることだけではありません。
その空間で過ごす人が、安心したり、心が満たされたり、自分らしくいられたりすること。
そして、日々の暮らしが少しずつ豊かになっていくこと。
インテリアは入口。その先にあるのは、一人ひとりの人生の質なのだ。
辻先生のお話を通して、自分が大切にしてきたことが、少しはっきりした気がしました。
「何をしたか」より、「どう感じたか」
辻先生のお話でもう一つ印象に残ったのは、人は物事を考えたり判断したりすることに意識が向きやすいので、自分の心の状態には、意識して目を向けることが大切だという視点でした。
私たちは普段、できたことや、できなかったことを考えます。
何が足りないのか。
どうすればもっと良くなるのか。
次は何をすべきなのか。
それも、暮らしをより良くするために必要なことです。
でも、そこにばかり目を向けていると、自分が何を感じていたのかを、見過ごしてしまうこともあるのではないでしょうか。
例えば、長い間頑張ってきたことが実を結んだとき。
「頑張ってきてよかった」
その言葉の奥には、嬉しさや誇らしさ、ほっとした気持ちがあるかもしれません。
あるいは、誰かへの感謝かもしれません。
どれが正しいということではなく、自分にとって、いちばんしっくりくる感情は何だろうと考えてみる。
そんな時間も、大切なのだと思います。
心地よい住まいを考える前に、自分を知る
インテリアのご相談でも、似たようなことがあります。
例えば、
「リビングをすっきりさせたい」
というご希望。
最初は、収納を増やすことや、家具を減らすことで解決できるように思えます。
でも、もう少しお話を聞いていくと、
「家に帰ったら、ほっとしたい」
「家族と穏やかな時間を過ごしたい」
「自分の好きなものに囲まれていたい」
そんな思いが見えてくることがあります。
同じ「すっきりしたリビング」でも、その奥にある願いは人によって違うのです。
私は、こうした一人ひとりの感じ方をもっと大切にしたいと思い、空間デザイン心理学®を学びました。
そして出会ったのが、LDNメソッド®です。
LDNでは、対話を重ねながら、ご自身が大切にしている感情や価値観を丁寧に探っていきます。
ここで大切なのは、私がお客様の気持ちを決めるのではないということ。
「あなたは安心したいのですね」と、私が答えを出すのではありません。
問いかけを通して、ご自身で考え、確かめ、言葉にしていただく。
「ああ、私はこれを大切にしていたんだ」
そんな気づきが生まれたとき、その人にとっての心地よい暮らしを考えるための、新しい手がかりが見えてきます。
私は、そのお手伝いをしたいのです。
自分の心地よさと、家族の心地よさは違っていい
そして、最近もう一つ感じていることがあります。
自分の感情や価値観を知ることは、住まいづくりだけでなく、毎日を心地よく過ごすことにもつながる。そう気づいたのです。
例えば、家族で同じリビングにいても、
誰かはテレビを見てくつろぎたい。
誰かは静かに本を読みたい。
誰かは家族と会話を楽しみたい。
同じ空間で過ごしていても、心地よさは一人ひとり違います。
自分にとって心地よいことが、相手にとっても心地よいとは限りません。
でも、自分自身が何を大切にしているのかを知っていれば、相手にも、その人なりの大切なものがあるのかもしれないと考えられます。
それは、家族だけでなく、友人や職場の仲間との関係にも通じることだと思います。
もちろん、自分の感情が分かれば、相手の気持ちまで分かるようになるわけではありません。
それでも、
「私はこう感じる。あなたはどう感じる?」
そんな対話ができたら、互いの違いを、もう少し穏やかに受け止められるのではないでしょうか。
私は以前から、「自愛から、慈愛へ。」という言葉を大切にしています。
自分を知り、自分を大切にすること。
そこから、周りの人の気持ちも大切にすることへ。
空間デザイン心理学®やLDNメソッド®に惹かれた理由も、ここにあるのかもしれません。
インテリアの、その先へ
私は、インテリアを整える仕事をしています。
けれど、心地よさの答えは、私の中にあるのではなく、そこに暮らす人の中にあると思っています。
私にできるのは、その答えを見つけるためのお手伝いと、見つかった思いを住まいという形にしていくこと。
そして、対話を通して自分の感情や価値観を見つめる経験は、住まいづくりが終わったあとにも、日々の暮らしの中で役立つかもしれません。
最近、心が満たされたのは、どんなときでしたか?
そのときの気持ちを、一つだけ言葉にしてみましょう。
その気持ちを日々の暮らしでも感じられるように、住まいの中でできることを一つ考えてみませんか。
思いついたことを手帳に書いたり、家族に話したり、実際に試してみたり。
自分の気持ちに気づき、自分で選んだ一歩を踏み出すこと。
そこから、自分らしい暮らしが少しずつ始まるのだと思います。

自分の感情を知ることは入口。自分らしく生きることが出口。
辻先生のお話から、私なりに見つけた言葉です。
インテリアを通して、人を見つめる。
そして、その人が自分らしく、豊かに生きるための住まいを、一緒に考えていきたいと思っています。
暮らしを整え、美しく生きる。
その始まりは、自分の心に目を向けることなのかもしれません。
今日の小さな問い
最近、心が満たされたのは、どんなときでしたか?
何をしていたかだけでなく、そのときの気持ちを、一つだけ言葉にしてみませんか。
そこに、あなたにとっての心地よさを知るヒントが隠れているかもしれません。
自分の気持ちを、もう少し深く知りたい方へ
自分の気持ちや価値観は、一人で考えているだけでは、なかなか言葉にならないこともあります。
marieでは、LDNメソッド®を用いたヒアリングを通して、ご自身が大切にしている思いや、望む暮らしを見つめるお手伝いをしています。
答えをこちらから決めるのではなく、対話を重ねながら、ご自身の中にある答えを一緒に探していく時間です。
ご興味のある方は、サービスのご案内をご覧ください。
