片づけは「思いやりのコミュニケーション」

「片づけなさい!」に疲れていませんか?

こんにちは。インテリアコーディネーターのmarieです。

「おもちゃ、片づけてね」
「もうご飯だから片づけよう」
「いつまで出してるの?」

子どもがいる家庭では、こんな言葉を何度も繰り返している方も多いのではないでしょうか。

せっかく片づけても、気づけばまた床いっぱいのおもちゃ。

「どうして片づけてくれないんだろう」
「私ばっかり片づけている気がする」

そんなふうに疲れてしまうこともありますよね。

でも、もしかすると。

子どもが片づけないのには、その子なりの理由があるのかもしれません。

今日は「どうしたら片づけられる子になるか」ではなく、

片づけながら、その子のことを少し知ってみる。

そんな片づけのお話です。

大人には「散らかっている」、子どもには「遊びの途中」

たとえば、床いっぱいにミニカーが並んでいたとします。

大人から見ると、

「こんなに散らかして」

と思うかもしれません。

でも子どもに聞いてみたら、

「ここは駐車場」
「こっちは消防署」
「この車は今、事故の車を助けに行ってるの」

なんて答えが返ってくるかもしれません。

そうなると、同じ景色が少し違って見えてきます。

大人には「散らかったおもちゃ」でも、子どもにとっては、考えてつくった一つの世界だったのかもしれない。

だからといって、ずっと出したままにするのが正解というわけでもありません。

片づけるのが正解、出しておくのが間違い、でもない。

大切なのは、その人にとって、その状態にどんな意味があるのかを知ること。

そこから暮らしに合う方法を考えてもいいのだと思います。

片づけながら、子どもの世界を聞いてみる

おもちゃを片づける時間は、実は子どものことを知るチャンスでもあります。

「これ、どうやって遊ぶの?」
「この子には名前があるの?」
「この子とこの子は仲間?」
「どんなルールで遊んでいるの?」
「これを作るとき、どんな工夫をしたの?」
「一番好きなのはどれ?」

少し聞いてみると、

「そんなこと考えて遊んでいたんだ!」

と驚くことがあるかもしれません。

そのときはぜひ、

「面白いこと考えたね」
「ここを工夫したんだね」
「そんな遊び方を思いついたんだ」

と、その子が考えたことや工夫したことを言葉にしてみてください。

上手・下手や、良い・悪いを評価するのではなく、

その子が見つけたものを、一緒に喜んでみる。

片づけの時間が、少し違う時間になっていきます。

同じ「おもちゃ」でも、大切にしていることは違います

人によって心地よさが違うように、モノとの付き合い方にもいろいろな特性があります。

たくさんのおもちゃを組み合わせて、次々に遊びを広げることが好きな子。
お気に入りのミニカーや人形を、きれいに並べて眺めることが好きな子。
一つのものを長く大切にする子。
「誰にもらったか」「どこで買ったか」という思い出を大切にする子。
細かく分類することが好きな子もいれば、細かく分けられるとかえって片づけにくい子もいます。

どれが良い、悪いではありません。

その子が何を大切にしているのかによって、心地よい収納方法も変わってきます。

その子の「好き」から、収納を考えてみる

ここで初めて、収納について考えてみます。

たとえば、たくさんのおもちゃを組み合わせて遊ぶ子なら、細かく分類するより、ごっそり入れられる収納の方が合うかもしれません。
一つひとつのおもちゃにこだわりがあり、眺めることも好きなら、箱の中にしまうより、見えるように飾る収納の方が嬉しいかもしれません。
もう遊ばないけれど、大切な思い出があるものなら、「使っていないから捨てる」ではなく、飾ったり、思い出として残したりする方法もあります。
いつも一緒に使うおもちゃなら、種類ごとに分けるより、一緒に使うものを一緒にしまう方が、次に遊びやすいこともあります。

収納には、すべての人に共通する一つの正解があるわけではありません。

モノの種類だけでなく、その人の行動や、空間との関係を見る。

そうすると、その人に合った収納のヒントが見つかることがあります。

「片づいた部屋」だけが心地よいとは限りません

もう一つ、聞いてみてほしいことがあります。

「おもちゃをいっぱい広げて遊んでいるとき、どんな気持ち?」
「全部片づいたら、どんな気持ち?」

答えは、その子によって違うでしょう。

遊んでいるときは、

「楽しい」
「ワクワクする」
「もっと作りたい」

片づいたあとは、

「すっきりする」
「気持ちいい」
「明日また遊びたい」

という子もいるかもしれません。

反対に、せっかく作ったものを全部片づけると、

「悲しい」
「まだ途中なのに」

と感じることもあるでしょう。

そして、親にも気持ちがあります。

「床に何もないと、私はほっとする」
「夜は少しすっきりした部屋で過ごしたい」
「歩く場所だけは空いていると安心する」

どちらかの気持ちを正解にする必要はありません。

「あなたはそう感じるんだね。私はこう感じるよ」

と伝え合う。

そこから、

「じゃあ、この作品だけは残しておこうか」
「歩くところだけ片づけようか」
「明日また遊びやすいように、ここに置いておこうか」

と、二人が心地よくいられる方法を探していく。

それも、住まいを整えることの一つだと思います。

片づけは、その人の「大切」を知る時間

これは、子どものおもちゃだけではありません。

洋服、食器、趣味の小物、本なども、同じように考えることができます。

洋服なら、たくさんの中からその日の気分で選ぶことが楽しい人もいれば、本当に好きなものだけを少し持っていたい人もいます。

食器も、毎日同じお気に入りを使いたい人もいれば、料理や季節に合わせて選ぶことを楽しみたい人もいるでしょう。

本も、読み終わったら手放せる人もいれば、本棚に並んでいることそのものに安心や喜びを感じる人もいます。

趣味の小物なら、しまってすっきりさせるより、いつでも眺められることの方が大切かもしれません。

モノの量や持ち方だけを見て、「多い・少ない」「片づいている・散らかっている」と決めなくてもいい。

大切なのは、

「私は、これの何が好きなんだろう?」
「これは、私にとってどんな価値があるんだろう?」

と、自分に聞いてみること。

その答えが分かってくると、「どう収納するか」「残すか手放すか」も、自分に合った方法を選びやすくなります。

今日、一つだけ聞いてみませんか?

今度、お子さんや家族と一緒に片づけるとき

全部をきれいにしようとしなくて大丈夫です。

一つだけ、気になるものを手に取って、
「これ、どんなところが好きなの?」
と聞いてみてください。

答えが返ってきたら、

「そうなんだ」

で終わらずに、もう一つ。

「どんなところが?」
「どうやって遊ぶの?」
「それ、自分で考えたの?」

と聞いてみる。

今まで知らなかった、その子の「好き」が一つ見つかるかもしれません。

そして、その「好き」が分かったら、

「じゃあ、どんなふうに置いてあったら嬉しい?」

と一緒に考えてみてください。

収納用品を買うのは、そのあとでも遅くありません。

片づけは「思いやりのコミュニケーション」

片づけというと、

「元の場所に戻すこと」
「きれいな状態にすること」

だと思いがちです。

でも、その前にできることがあります。

相手が何を大切にしているのかを知る。
自分がどう感じているのかも伝える。
違いがあっても、どちらかを間違いにしない。
そして、お互いが少し心地よくいられる方法を、一緒に考えてみる。

だから私は、

片づけは「思いやりのコミュニケーション」

でもあると思っています。

今日の片づけで、部屋が完璧にきれいにならなくてもいい。

その代わり、

「こんなことが好きだったんだ」
「こんなふうに考えていたんだ」

と、大切な人のことを一つ知ることができたら。

昨日まで少し困って見えていたおもちゃの山が、今日はちょっと違って見えるかもしれません。

そして、その人の「好き」に合った場所を一つつくってみる。

そんな小さな変化から、片づけることが少し嬉しくなる暮らしが始まるのだと思います。

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